「エンターテイメントが人をつなげ、行動を加速させる」これからのMarcomをTikTok広告の視点で覗く【セッションレポート】

最終更新日:

集客マーケティング

EVENT REPORT

「タイパ」という言葉に象徴されるように、大量のコンテンツから効率的な情報収集を求める意識が生活者の間で広がっています。生活者の行動変容を生むには「エンターテイメント」が鍵になるとTikTok for Business Japanの駒﨑氏は語ります。

 

本セッションでは、TikTokの成長背景からニューノーマルでの生活者インサイトを紐解き、モバイル動画時代の「人を動かす」コミュニケーションをご紹介します。

 

登壇者紹介

駒﨑 誠一郎

TikTok for Business Japan
Group Head, Brand Strategy Global Business Solutions, Japan

広告代理店、グローバルスポーツブランドにてプランニングディレクター、広告宣伝部長を経て、FMCG、GAME、自動車、小売、エンタメなど様々なマーケティング活用を推進している

 

 

コンテンツが生活者を見つけにいく時代へ

TikTok for Businessの駒﨑と申します。

本日は「エンターテイメントが人をつなげ、行動を加速させる」をテーマに、これからのマーケティングコミュニケーションのヒントをTikTok広告の視点からシェアできればと思っています。

現在、「コンテンツが生活者を見つけにいく時代」を迎えていると考えています。従来は生活者自身が情報を検索していたところから、コンテンツが生活者の元へどんどん集まってくるようになっている。生活者はその中で気になったもの、ビビっとくるものを選びとる。そのような傾向が年々強まっていると感じています。

「タイパ」という言葉もありますけれども、限られた時間に対して受け取れるパフォーマンスへの意識が非常に高まっています。すると、闇雲に情報を取りにいくのは効率が悪い。情報の海の中から自分が求めるものを探す行為に、疲弊してきているんですね。

TikTokでは世界中のユーザーのおよそ8割が「おすすめ」フィードを視聴しています。

「おすすめ」フィードには、自分が興味のある情報だけではなく、興味の範疇になかった情報も一定数出てくるようになってるんです。

TikTokによって知らない情報が大量に出てくる。それによって新たな発見があり、どこかで心が動く瞬間がやってくる。その勢いのままに購買につながるケースが出てきています。

生活者の購買行動は「自分が欲しいものを吟味して買う」から「たまたま出会った商品が気に入ればその場で手に入れる」に変化してきている。

その象徴が「TikTok売れ」です。

日経トレンディの「2021年のヒット商品ベスト30」で1位となったワードなんですが、「TikTokの投稿で商品を認知して購買につながること」を表現する言葉です。実際、TikTokをきっかけにグミから高級車まであらゆる商品が売れる現象が起こり、メディアからも数多く取り上げていただきました。

今後のマーケティングコミュニケーションにおいて、いかに生活者との偶然の出会いをもたらし、ビビっとくる接触体験を起こせるかは重要です。

次世代のトレンドは「エンターテイメントコマース」

エンターテイメント、つまり「楽しいな」と思える要素が核にある情報は、コンテンツの浸透を高めていきます。

情報を有益なのかどうか選別しているときは、心理的にガードが上がっていて、心を開いてないということ。一方で楽しんでいるときは自然とオープンマインドになるので、その先で商品の情報が紹介されてもあまり嫌な気分にならない。自然とブランドのコンテンツを受け入れやすい姿勢になっているんですね。

2022年にTikTok for BusinessがBCGに委託して調査を行い、次世代コマースのキーワードになると提唱しているのが「エンターテイメントコマース」です。

ECサイトに商品を並べて陳列するだけではなく、人によるインタラクションを通して、購買動機を生み出していくあり方を指しています。

みなさんに馴染みのある「ライブコマース」もその一つです。APACの市場規模は2022年 5000億ドルに達し、2025年になると1.1兆ドルまで伸びると推測されています。

近年、マーケットプレイスやD2C、ソーシャルコマースなど、買い物を行うときのチャネルや手法が多様化しています。しかし、生活者は選択肢が増えると注意力が散漫になり、「今日じゃなくてもいいかな」と意思決定を先送りにしがちです。

加えて、広告の訴求効果も弱まってきています。誇大表現、作り込みすぎ、つまらない、気が散る。そうしたネガティブな広告体験にたくさん触れているがゆえに、10人に6人の生活者がブランドコンテンツを目にしても購入意欲が湧かないと答えています。

もはやブランドが生活者にコンテンツを届ける術はないのでしょうか。我々が突破口になると考えているのが「ブランドとの感情的な結びつき」を得ることです。

BCGの分析によると、コマースのデマンドには6つのスペースがあります。妥当性、改善、利便性といった機能的なニーズはもちろん大事ですが、今後差別化する要素としては3つの感情的なニーズに応えていくことが重要だと考えています。

一点目はレコメンドです。流行っているものは何か知りたい、買うべき商品に対する助言が欲しい気持ちに応じられるか。

二点目に贅沢。日々忙しく疲れている中で自分を甘やかしてくれる、ご褒美となるものの情報を提供できるのか。

三点目にインスピレーション。自分が全く知らない、新しい刺激を与えてくれるか。

こうした要素が買い物のプロセスにあると「このブランドは何だろう?気になるな、楽しそうだな」と生活者の関心は高まります。それが今後、新しいビジネスチャンスに繋がると見立てています。

TikTokは、ブランドとの新たな出会いをつくる

TikTokはユーザーにとって、ブランドとの新たな出会いをつくる場所になっています。

「おすすめ」フィードの視聴を通じて、偶然の出会いや発見を生みやすい体系によって、ユーザーは期待して前向きに情報接触してくれるようになりました。

ブランドからの発信でも生活者が楽しめる内容であれば、コンテンツは浸透しやすくなります。

エンターテイメントの動画広告を配信するシンプルな施策から、ポジティブなコミュニティが形成されて購買が広がる現象が起こるのがTikTokの面白いところです。

重要なのは「エンターテイメントファースト」であること。
商品・サービスの魅力をさまざまな側面から短尺の動画フォーマットの中で見せることで、ユーザーの関心は高まります。その際、ユーザーの楽しさを起点にブランドへのエンゲージメントやアクションを作っていくことで、大きな行動変容を生み出すことができると考えています。

この記事の著者

大里 紀雄Norio Osato

Micoworks株式会社

ビジネスマーケティング部 Director

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う。 その後、複数の事業会社で大規模カンファレンスの企画運営や、オウンドメディアの構築などのマネジメント、アジアパシフィック地域のマーケティング戦略立案や広報活動など幅広い業務を経験し、現在に至る。

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