サードパーティークッキー廃止の影響は?廃止スケジュールと代替手段を解説します。

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3rdPartyCookie(サードパーティクッキー)廃止の影響や廃止のスケジュール、代替技術について解説。

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延期になっていたGoogleChromeの3rdPartyCookie(以下、サードパーティクッキー)廃止。2024年1月より段階的な制限をかけ、年内の完全廃止を発表しました。

これまで、多くの企業がクッキーを活用したデジタルマーケティングを行ってきましたが、今後は代替となる手段を検討していかなくてはなりません。この記事では、クッキー廃止によるマーケティングの影響とポストクッキー時代に求められる代替手段となるマーケティング手法について解説します。

サードパーティクッキーとは

3rdParty Cookie(以下、サードパーティクッキー)とは、訪れたサイトと異なるドメイン(第三者)から発行されたCookie(以下、クッキー)のことを指します。

リターゲティング広告など、さまざまな用途で活用されていますが、なぜ廃止されることになったのでしょうか。

サードパーティクッキーの仕組を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

「サードパーティークッキー(3rdParty Cookie)」とは?仕組みを徹底解説

サードパーティクッキー廃止の背景

サードパーティクッキーが廃止となる背景には、近年強まる個人情報の保護とセキュリティへの懸念があげられます。

個人情報保護に関する規制の強化

欧州連合(EU)では、個人データの保護やその取り扱いに関する法令、「GDRP(EU一般データ保護規則)」を2018年5月25日から施行しました。

EU圏内での法令ですが、検索エンジンをはじめとしたインターネットを活用しているサービスが対象となり対応が求められています。グローバルで事業を展開する企業は対応を迫られ、検索エンジンを提供する各社は対応に追われています。

この動きを筆頭に世界各国で個人情報を保護の法律が施行され、日本国内でも2022年4月に改正された個人情報保護法によりクッキーが規制の対象になりました。

セキュリティへの懸念

クッキーにはユーザーの氏名、住所、クレジットカードの情報など非常に重要な個人情報がたくさん含まれています。そのため、スマホの盗難やPCの不正ログインによって、異なるユーザーがそのまま買い物できたり、サービスが使えたりしてしまうのです。

このようにクッキーに個人情報が含まれており、情報流出の懸念もあります。個人情報保護に関する規制が高まるなか、同様にクッキー廃止を後押しする要因のひとつとなっています。

サードパーティクッキー廃止によるマーケティングへの影響

今まで、多くの企業がデジタルマーケティング戦略のなかでサードパーティクッキーを利用してきました。クッキーの情報をもとに、ユーザーの興味関心を理解し、行動履歴から適切なタイミングで適切な広告を配信し、購買や契約につなげていた企業も少なくはないでしょう。

リターゲティング広告

サードパーティクッキーの活用例として、代表的なもののひとつがリターゲティング広告です。リターゲティング広告は自社のWebサイトを訪問したことがあるユーザーに再度アプローチできる有用な方法ですが、これを可能にしているのがサードパーティクッキー。

廃止すればターゲティングの精度が落ち獲得効率に影響を与える他、ユーザーも自身と関係ない広告が表示されるようになる可能性があります。


Web広告の効果測定

従来、サードパーティクッキーを利用してお問い合わせや資料請求などのコンバージョンを計測していましたが、クッキー廃止後は正確に計測することが困難となります。

またマーケティングの効果を測定する方法のひとつで、直接的な成果だけでなく、初回接触からコンバージョンへ至るまでにユーザーと接触したチャネルがどれくらい寄与しているかを分析するアトリビュージョン分析も正確に計測できてなくなります。

以上のように、サードパーティクッキーが廃止されれば広告の正しい計測ができなくなり、CPAの悪化や費用対効果を検証することが難しくなるのです。そのため、マーケティングも従来のやり方から変化させていく必要があります。

サードパーティクッキー廃止に向けた各社のスケジュール

Webブラウザ使用率で上位を占めているGoogleのChrome、MicrosoftのEdge、AppleのSafari。それぞれ、サードパーティクッキーに廃止に向けてどのような対応を進めているのでしょうか。

Appleが提供するsafariでは、サードパーティクッキーを完全に廃止

Appleは、ターゲティング広告がプライバシーの侵害になると考え、同社が提供しているSafariへのトラッキング防止機能として「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を搭載しています。

2017年9月から広告のリターゲティング、購入時のアクセス方法、ユーザーのトラッキングを制限するITPを実装し、サードパーティクッキーの制限をかけ、2020年3月にはサードパーティクッキーを完全に廃止しました。

また、一部の広告においてクッキーの代わりとしてトラッキング情報を使用していたローカルストレージにおいても、即時削除、一定の条件を満たした場合は最大7日で無効としています。

Googleが提供するGoogle Chromeは、24年1月から一部制限を開始

Googleが提供するChromeにおいても、2024年後半にすべてのサードパーティクッキーを段階的に廃止することが発表されました。1月4日より、Chromeユーザーの1%にWebサイト間のトラッキングを防止する保護機能のテストを展開し、徐々に拡大していく予定です。

Chromeは国内だけでなく、国外でも最も多く使用されているWebブラウザのため、広告業界の中では非常に大きな影響を与えることが予想されます。

Microsoftが提供するEdgeでは24年内から段階的にサードパーティクッキー廃止

2024年3月5日、Microsoftはクッキーの代替策となる「Ad Selection API」を発表し、サードパーティクッキーやクロスサイトトラッキングに依存せずとも、ユーザーの関心に即した広告が掲出できるようにすると述べました。

このAPIは、高信頼実行環境である「TEE」を使用し、匿名性の制約、差分プライバシーの使用、広告オークションプロセス全体にわたるユーザーデータの保護など、強力なプライバシー保護が組み込まれています。

並行して、数ヶ月以内に1%未満のEdgeを利用している個人ユーザーを対象に、サードパーティクッキーの非推奨に関する実証実験を実施すると発表しました。

クッキーレス時代において、サードパーティクッキーの代替手段となるのは…

マーケターはサードパーティクッキーが使えなくなることを想定し、次のような手段を使って、早々にクッキーの代替手段となる戦略を再構築する必要があります。

ウォールドガーデンの活用

ウォールドガーデンはデータクリーンルームの一種で、直訳すると「壁に囲まれた庭」という意味ですが、わかりやすく説明すると、Google、Meta、Amazon、Xなど、多くのユーザーを抱え、IDに紐づいたサービスを展開する大手プラットフォーマーのことを言います。

「クローズドプラットフォーム」とも呼ばれ、ユーザーを自社のプラットフォーム内に留まらせ、できる限りその中でサービスを利用してもらうという戦略で広告配信データの外部への提供を制限しているのです。

※データクリーンルームとは、プラットフォーマーがプライバシーポリシーを使用して機密データが共有できるクラウドの環境のこと。個人を特定することなく、なおかつセキュリティを確保した状態で、自社および関連企業が保有するデータを掛け合わせて分析することが可能です。アクセスできる人も限定されるため、個人情報を守りながら、大規模な情報を活用することができます。

共通IDソリューション

共通IDソリューションは、広告主が保有する顧客データ(メールアドレスなど)を匿名化したうえでIDに変換し、広告エコシステムの中で共有する仕組みです。プライバシーを守りながら、精度の高いターゲティングができることがメリットですが、IDが連携している事業者間でのみ有効なため、ターゲティング範囲が絞られます。

コンテキストターゲティング

コンテキストターゲティングとは、ユーザーが訪れたWebページの記事の内容、キーワード、画像などをAIが解析し、その文脈(コンテキスト)に沿った内容の広告を表示する手法です。コンテキストターゲティングはおもに、キーワード、カテゴリ、セマンティックという種類があり、ユーザーの興味関心に即した広告を配信できるため、効果が期待できます。

関連性が高いコンテンツページのみに表示されるため、ユーザーの広告疲れを防止することができますが、配信頻度が限定されること、関連したWebサイトを閲覧したユーザーのみに配信されるため、潜在顧客への訴求が困難なことが難点です。

ファーストパーティデータの活用

「ファーストパーティデータ」とは、企業が独自に保有している顧客情報や購買などの行動履歴、アクセスログなどのデータの総称を言います。顧客から許可を得た上で取得した情報であり、サイトに登録した氏名や住所などの情報以外に、SNSでのやり取り、商品の購買データ、サイト内の行動履歴など、非常に有用なデータであるため、細かく分析することで高価値な施策を実施することができます。

ポストクッキー時代に向けて。デジタルマーケティング戦略の再構築の一例

クッキーレス時代において、既存顧客と新規のターゲットを獲得するには、従来のデジタルマーケティング戦略を見直し、代替策を検討していかなくてはなりません。その一例としてファーストパーティデータを活用したLINEマーケティング戦略についてご紹介します。

  1. LINEの友だち登録を促す

まずは自社のサービス・商品に興味関心があるのはどのような人物なのか、現在の顧客のデータをもとに分析。自社が運営するWebサイトや広告などからLINEの友だちへと誘導する。

  1. LINEでアンケートを実施し、顧客情報を取得・蓄積する

LINEアンケート経由で一人ひとりの顧客情報を蓄積する。たとえば、年代、住んでいる地域、子どもの有無、ペットの有無など。

  1. 顧客情報をもとにセグメントごとにターゲティングした配信

LINEで取得した顧客情報をもとにセグメントし、それぞれの興味関心に合わせたテキスト、クリエイティブでメッセージを配信。

  1. 開封率やアクションを追い、施策を変えていく

たとえば、「ペットがいる・アウトドアが好き」と回答したユーザーには、小売業がペットと遊べるアウトドア用品を紹介するメッセージを配信したり、「仕事で使用するため英会話スキルを伸ばしたい・3ヶ月で習得したい」と回答したユーザーに、英会話サービスを展開する企業が無料体験レッスンのクーポン発行やニーズに合わせた短期集中講座の案内を送ったりするなど、ユーザーのニーズに合わせた配信内容を作成し、配信することができるようになります。

アンケートとメッセージで顧客とのコミュニケーションをとりながら、顧客を深掘りしていくことで、適切なタイミングで適切な配信を行い、アクションへつなげたり、顧客の情報をもとにターゲットを特定したりすることもできます。また、自社で持つデータとかけあわせることで、さらに精度が向上し、クッキーレス時代に適応した強固なマーケティング施策が構築できるのです。

これからはファーストパーティデータの活用がカギになる

個人情報保護に関する法規制、各ブラウザのクッキーの廃止などを踏まえ、サードパーティクッキーに依存しない、自社がユーザーの同意を得て独自に取得したファーストパーティデータは、今後のデジタルマーケティングでより重要になっていきます。

ポストクッキー時代では、ファーストパーティデータを活用し、適切なタイミングで適切なコンテンツを提供することが成果につながるポイントになります。

弊社が提供するMicoCloudは、見込み顧客の拡大施策からファーストパーティデータの収集と分析、ユーザーの興味関心に合わせた施策までがシームレスに実行できるLINEを活用したマーケティングツールです。顧客一人ひとりに合わせた1to1のコミュニケーションで、有効なアプローチを実施していきませんか。

この記事の著者

大里 紀雄Norio Osato

Micoworks株式会社

ビジネスマーケティング部 Director

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う。 その後、複数の事業会社で大規模カンファレンスの企画運営や、オウンドメディアの構築などのマネジメント、アジアパシフィック地域のマーケティング戦略立案や広報活動など幅広い業務を経験し、現在に至る。

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