【松永エリック学部長に聞く】「リアルタイム」と「パーソナライズ」がブランド成長の鍵を握る LINEで実現する真の1to1マーケティング

最終更新日:

インタビュー

INTERVIEW

年々、消費者のライフスタイルや価値観が多様化しており、顧客一人ひとりのニーズに合わせたコミュニケーションが必要とされています。


顧客体験価値を向上させ、購買行動を促すにはどのようなツール、手法が有効なのか。今回は青山学院大学 地球社会共生学部 学部長の松永エリック・匡史さんに、今起きている消費行動の変化と、今後のマーケティングの在り方についてインタビューを行いました。

 

今後、ブランド成長の鍵を握るには「リアルタイム」と「パーソナライズ」。誰もが気軽にコミュニケーションを行えるLINEを活用して、1to1マーケティングを行うことの重要性について語ります。


最初から最後まで、ブランドにとって見逃せない重要なポイントが満載です。





インタビューイー
松永エリック・匡史氏
青山学院大学 地球社会共生学部 教授 学部長

青山学院大学大学院修了。バークリー音楽院出身のアーティストとしての感性を生かしアクセンチュアなどの外資系のコンサルティング企業で活躍した後、デロイトトーマツ コンサルティング メディアセクターAPAC統括パートナー、PwCコンサルティングデジタルサービス日本統括パートナーとして、デジタル事業を立ち上げた。2018年よりONE NATION Digital & Mediaを立ち上げ、大手企業を中心にデジタル変革(DX)のコンサルを行う。2019年、青山学院大学 地球社会共生学部 (国際ビジネス・国際経営学) 教授に就任、アーティスト思考を提唱。学生と社会人の共感と創造の場「エリックゼミ」において社会課題の解決に挑む。事業構想大学院大学 特任教授。2023年4月、青山学院大学 地球社会共生学部 学部長就任。

モデレーター
大里 紀雄
Micoworks株式会社 ビジネスマーケティング部 Director

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う。その後、複数の事業会社で大規模カンファレンスの企画運営や、オウンドメディアの構築などのマネジメント、アジアパシフィック地域のマーケティング戦略立案や広報活動など幅広い業務を経験し、現在に至る。


ブランドの成長にはリアルタイムコミュニケーションが必須


大里:少し前までユーザー自身がECサイトで商品を選び、買い物していたものが、最近は「ブランドが能動的に商品を提案して、チャットで相談しながら買い物する」コンシェルジュサービスのように対話しながら購買するスタイルが広がりつつあるように感じます。

エリック:この数年での大きな変化は、消費者の購買体験がモノを“買う”から所有するのではなくサブスクでシェアされたラインナップを“選ぶ”体験へと変わったことでしょう。購買のハードルが一気に上がったわけで、自社の商品を購入してもらうには、所有することによってそのブランドにしかない価値を感じられることが重要になってきます。それにはより真相に迫った双方間のコミュニケーションが必須です。

大里:おっしゃる通りです。しかし、双方間のコミュニケーションツールとして未だにメールを利用している企業が多い印象を受けますね。

マーケティングツールはトレンドの移り変わりが非常に激しく、一度導入してしまうと別のツールに変更するのが難しいという課題があります。新たなツールを導入すれば、使い方を覚えるのはもちろん、運用を1から設計しなければならないことも背景にあるでしょう。

しかし、世の中のトレンドが目まぐるしい速さで変わり、消費者の趣味嗜好や価値観が多様化を極める中、電話やメールだけだとコミュニケーションにズレや遅延が生じてしまう。SNSやチャットツールが普及している現代では、リアルタイムなコミュニケーションに注力すべきだと思っています。

エリック:そうですね、価値観が多様化する現代では、かつてのマスマーケティングの時代のように全ての顧客に一斉送信することに意味がなくなってしまいました。一人ひとりと繋がるべきタイミングでリアルタイムのコミュニケーションをとり、ユーザーの考えていることやこれから起こす行動を先読みした情報を提供することが今後、標準になっていくと思います。

たとえば、昼の12時が過ぎて、そろそろお腹が空いてきたなと思っているときに近所のハンバーガーチェーンの割引クーポンが通知されたら、食べてみようかなという気分になりますよね?でも、昼にハンバーガーを食べたいと思っていない人にその情報を送っても意味がないし、昼を食べるタイミングも人によって違うはずです。そういった嗜好と情報を提供するタイミングも重要です。

大里:そうですね。近年のユーザーの購買行動を加味して、MicoworksではLINEをベースにしたコミュニケーション支援ツールを提供しています。チャットを通じてリアルタイムにお客様とコミュニケーションを行う。この潮流に乗れていないマーケターや企業はまだまだ多いように感じます。

エリック:ブランドが成長を続けるには、リアルタイムでコミュニケーションが取れるチャットツールの導入は必須だと思います。これだけ多くの人がスマホを持ち歩いて24時間365日画面を見ているわけです。

冷静に考えて、リアルタイムでのやりとりを含め、便利なツールを「導入しない」という選択肢はない。しかし、使い慣れないツールを機能の押し売りで使わせることはユーザーにとって負担になってしまうので、使い慣れたLINEを活用することはユーザー視点ではありがたいことだと思います。

いまだにFAXとメールでコミュニケーションを行う企業も少なくありませんが、これだけスマホとSNSが普及している時代において、顧客とすぐにやりとりができるツールを使わない手はないでしょう。そういう意味でも、LINEを導入していないことに危機感を覚えるくらいじゃないといけません。

短期間で変化し続ける時代でブランドが生き残るために、一番重視すべきはお客様との接点です。メッセージの質とスピード感も大切ですが、まずは顧客接点がないと手も足も出すことができませんよね。情報だけではなくツールも接点であることを忘れてはならないのです。

ここでいうお客様との“接点”とは、ただ連絡先を知っているだけでなく、自社が配信した情報をユーザーが受け取り、読んでもらえている状態のこと。LINEという、ユーザーにもっとも身近な手段をブランドが使わない手はありませんよね。


リアルタイムの顧客接点を築けるLINEの良さ

大里:多くのブランドはメール配信や送信先件数が多いことに満足している節はあるかもしれません。接点を持つとは、送った後のアクションにつなげること。そこまでの行動を見据えてお客様とコミュニケーションを図る必要がありますね。


エリック:そういう観点でも、LINEは本当に効率と効果が良い。アプリは無駄に増やしたくないし、仮にダウンロードをしても利用頻度が低いとすぐに削除されてしまう。でも、LINEは日常のコミュニケーションに欠かせないアプリだから削除されることはほぼありません。その時点で非常に有利なんです。うちの母親もコミュニケーションで使っているくらいですから年齢層も広いし、使いやすいということが証明されているともいえます。

大里:私の両親はメールアドレスを持っていますが、サービス利用時の登録やモノを購入する際のID程度にしか思っていないんです。しかし、LINEは家族や友人と連絡を取り合う手段として日頃から頻繁に利用しています。

LINEなら、ITに明るくなくても若年層から高齢層まで、誰でも簡単に使えますし、これだけ多くの人々のインフラになっているのだから、企業としてはLINEをもっと有効活用すべきです。

エリック:おっしゃる通りです。LINEはインターフェイスがわかりやすいので、誰もが直感的に使えますし、ここまで浸透してしまうと慣れもありますから、他のインターフェイスが使いづらいとさえ感じるのではないでしょうか。

より個に迫ったレコメンドを届けることが重要


大里:LINEはユーザーが非常にアクティブなプラットフォームですが、だからと言って、何でもかんでも「LINEを使えばうまくいく」わけではありません。

エリック:そうですね、同じプラットフォームでも、見たいコマーシャルと見たくないコマーシャルってありませんか? それが答えです。ただ闇雲に配信するのではなく、「見たい」と思わせる演出や見せ方を考えなくてはなりません。LINEは顧客接点のツールにすぎません。その接点を活用し、どんな情報をどのタイミングで提供するかはツールの問題ではありません。

カスタマージャーニーと消費者の心理、この二つを考慮して、どの時間で、どんな設定で、どのように見せるか。頭がシャキッとしている朝の時間帯とお酒をたくさん飲んできた夜の時間帯では、ユーザーの受け取り方も行動も大きく異なりますから、タイミングも非常に大事です。配信のタイミングがずれると、一気に効果が薄れてしまいます。

大里:より個に迫って、その人が求めているものをレコメンドすることが重要ですね。そこにズレが生じると何の効果も得ることができません。40代男性のビジネスパーソンに女性専門エステの広告を表示しても意味がありませんからね。

エリック:小さなお子さんがいるご家庭の場合、真夏日に子どもの熱中症対策や夏バテ防止対策に効果があるものを表示すれば、目に留まる確率はグッと上がりますよね。その情報をどのタイミングで提供するかも大事です。昨今のEコマースは、レコメンデーションの機能がまだまだだなと思うことがあります。

今まで購入した商品情報があるにも関わらず、意外とすでに購入したものが何度も表示されがちです。これは論外の設計です。さすがに購入済みの同じ商品ばかり表示されるとちょっと気持ちが白けてしまうのは明らかです。

ここで、さらに生成系AIを活用すれば、すぐにでも、ユーザーが買ったことはないけど興味を持ちそうな商品を表示させることができるはず。もっと、顧客視点に立ってレコメンドを改善すべきなのです。それこそが、「LINEでどのように伝えるべきか」の回答に近づく一番重要なポイントだと思います。

大里:LINEの公式アカウントでも、メッセージをしっかり読むアカウントもあれば、メッセージを迷惑に感じてブロックや既読スルーをするアカウントもあります。そこで大きな差が出てしまう。

エリック:せっかく登録されても、ウザいと思われてブロックされては水の泡です。マーケターは、ユーザーの興味を惹きつけるデザイン、キーワード、コピーについて真剣に考えていきましょう。


リアルタイムでパーソナライズしたマーケティングを実現する「MicoCloud」


大里:今後は、時代の変化や消費者の購買行動に合わせたマーケティングが必須になると考えています。居住地を特定すれば、近隣店舗で使えるクーポンを送ることもできますが、観光でたまたま店舗に訪れているユーザーに次回利用できるドリンク一杯無料券を送っても使えないし、困りますよね。

一人ひとりに合わせてメッセージを最適化していくことが、ブランドのマーケティング効果を最大化させる秘訣になるのではないでしょうか。

エリック:そうですね、位置情報や興味関心ごと、趣味嗜好、属性などのデータをもとに、配信のタイミングや内容、デザイン、コピーを最適化していく。現段階ではまだまだ改善の余地がありますし、視点を変えれば、そこにこそ大きなチャンスがあるといえます。

注意すべきは、そこで競合他社の動向ばかりを追って、比較したり、同じ手法を取り入れたりしてしまうことです。「A社はこのツールで成功しているから」と、同じツールや同じ手法で同じようにマーケティングを実行しても成功するとはかぎりません。

むしろ、新たにツールを入れるのではなく、すでに浸透しているLINEを有効活用することで、必ず効果は得られるはずです。そこへデータを活用し、試行錯誤を繰り返しながら、自社独自の成功法を築き上げていきましょう。

大里これからの時代に求められるのは、リアルタイムでユーザー一人ひとりの関心に近いメッセージを届け、ブランドと双方向のコミュニケーションを行うこと。

LINEというプラットフォームは消費者にとってもっとも身近なチャネルであり、マーケティングを成功へと導くためにも欠かせないツールのひとつです。マーケティング活動を活性化させるためにも、ブランドを飛躍させるためにも、LINEマーケティングツール「MicoCloud(ミコクラウド)」をぜひ活用していただければと思います。



この記事の著者

大里 紀雄Norio Osato

Micoworks株式会社

ビジネスマーケティング部 Director

大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う。 その後、複数の事業会社で大規模カンファレンスの企画運営や、オウンドメディアの構築などのマネジメント、アジアパシフィック地域のマーケティング戦略立案や広報活動など幅広い業務を経験し、現在に至る。

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